高速自動車国道の路線名変遷

はじめに

本サイトの趣旨と少々異なりますが、北海道内の高速自動車国道(高速道路)の路線名について書いてみました。特に法定路線名変更の歴史は、意外に知られていないかもしれません。

本稿ではインターチェンジを「IC」、ジャンクションを「JCT」と表記します。また、一般的な「札樽自動車道」「後志自動車道」「道央自動車道」「道東自動車道」の名称は使用しません。

法による定義

高速自動車国道の指定区間

供用中・建設中と、建設予定で基本計画策定済みの区間です。

高速自動車国道法(1957年4月25日公布)第3条・第4条で定めた路線を指し、高速自動車国道の路線を指定する政令により公布します。路線名・起終点・重要な経過地を公示します。

高速道路の4段階

高速道路の建設・供用を示した図に、次の用語が使われます。

  1. 供用区間
  2. 整備計画区間
  3. 基本計画区間
  4. 予定路線区間

下から順に説明します。

予定路線区間

国土開発幹線自動車道建設法(1957年4月16日公布。本稿では、以下「国幹法」と略す)第3条による区間です。ここでは、路線名・起終点・主たる経過地を定めます。高速自動車国道に指定されていない区間を含みます。基本計画未策定区間ともいえます。

一部は高規格幹線道路網(注1▼)に組み込まれたほか、一般国道40号の名寄市以北のように、国道の自動車専用道路として整備された区間(高規格幹線道路と同格)が存在します。

基本計画区間

国幹法第5条による区間です。ここから建設線(高速自動車国道指定区間)へ昇格します。

国土開発幹線自動車道建設法施行令(1957年6月20日公布。以下「国幹法施行令」)第1条により、次の事項を定めます。

  1. 建設線の区間
  2. 建設線の主たる経過地
  3. 標準車線数(原則4車線。大都市周辺の、特に交通量が多い区間は6車線)
  4. 設計速度(区間により、平坦部・市街部・丘陵部・山地部・山岳部に分けて定める)
  5. 道路等との主たる連結地
  6. 建設主体(北海道は原則、東日本高速道路株式会社。ただし、新直轄方式〔注2▼〕と呼ばれる区間は、国土交通大臣)

国幹会議(注3▼)の審議を経て、国幹法施行令第3条により国土交通省から告示されます。

基本計画では、詳細なルートを決めません。建設予定区間ともいえます。

整備計画区間

高速自動車国道法第5条による区間です。前出の基本計画に基づいて、新設・改築の際に定めます。

整備計画を策定および変更するときは、関係する都道府県・政令市の意見を聴きます。詳細なルートを定め、環境アセスメントを実施し、国幹会議の審議を経て決定します。

1957年7月26日に公布された高速自動車国道法施行令第2条により、次の事項を定めます。

  1. 経過する市町村名
  2. 車線数
  3. 設計速度(区間により異なる場合は、区間ごとに表示)
  4. 連結位置及び連結予定施設(ICを設置する市町村名と、接続する道路の路線名)
  5. 工事に要する費用の概算額
  6. 高速バス停留所の数(停留所がある場合のみ)
  7. 施行主体(基本計画の建設主体と同じ)
  8. 工事の施行(着工時期または着工予定について特記したいこと)

高速自動車国道法第7条や高速自動車国道法施行令第3条・第4条により、整備計画が決定された区間は、遅滞なく区域を決定または変更し告示します。供用を開始する場合も告示します。

北海道内の整備計画については、北海道・高速自動車国道の整備計画をご参照ください。

供用区間

整備計画区間のうち、供用済みの区間を指します。

注1

1987年策定の第四次全国総合開発計画で構想された。同年6月26日の道路審議会答申に基づく。道路審議会については注▼を参照。

計画の要旨では「高速交通機関の空白地域を解消し、全国土にわたつて高速交通機関の利用の利便性を均等化するため」、「地方中枢・中核都市、地域の発展の核となる地方都市及びその周辺地域等からおおむね1時間程度で利用が可能となるよう、およそ1万4千キロメートルで形成する」としている。

国土開発幹線自動車道のうち、当時の予定路線区間の一部(広義には、基本計画区間・整備計画区間・供用区間も含まれる)と、国土交通大臣が指定する一般国道の自動車専用道路から成る。北海道では、次の路線が該当する。

路線名区間主要経過地正式な名称
日高自動車道苫小牧市-浦河町新ひだか町付近一般国道235号
深川留萌自動車道深川市-留萌市一般国道233号
旭川紋別自動車道旭川市-紋別市遠軽町付近一般国道450号
帯広広尾自動車道帯広市-広尾町一般国道236号
函館江差自動車道函館市-江差町一般国道228号
後志自動車道黒松内町-小樽市倶知安町付近一般国道5号(黒松内新道・倶知安余市道路)。余市-小樽間は東日本高速道路株式会社が建設・供用。
釧路根室自動車道釧路市-根室市厚岸町付近一般国道38号・44号(釧路外環状道路)、一般国道44号(根室道路)
北見網走自動車道北見市-網走市一般国道39号(美幌バイパス)
道路審議会について

道路審議会令(1952年6月12日公布・2001年1月6日廃止)により設置。建設省設置法(1948年7月8日公布・2001年1月6日廃止)第10条第1項では、「建設大臣の諮問に応じて道路整備計画、一般国道の路線の指定又は道路の構造及び工法その他道路に関する制度を調査し、審議し、又はこれらの事項について関係行政機関に建議すること」と規定していた(引用部分は1952年6月10日・1965年4月1日改正)。

省庁再編に伴い、道路審議会は社会資本整備審議会道路分科会へ改められた。基本政策部会・有料道路部会がある。国土交通省設置法(1999年7月16日公布・2001年1月6日施行)第13条の規定に基づき、社会資本整備審議会令を公布(2000年6月17日。2001年1月6日施行)。「道路法の規定により審議会の権限に属させられた事項の調査審議」(同令第6条)が事務内容で、広く道路行政の課題を建議する。委員は国土交通大臣が任命する学識経験者で構成され、任期は2年(再任可)。国土交通大臣は臨時委員を任命できる。

注2
日本道路公団の民営化(2005年10月1日)に伴い、生まれた方式。高速自動車国道法第20条を改正し(同年5月1日。同条は建設費用の負担を規定)、高速道路会社での建設・管理が採算上困難な区間を国と都道府県(政令市)による負担で建設する。地方負担分は、国の財源を移譲する措置でまかなう。具体的な負担割合は高速自動車国道法施行令第11条により、国が4分の3を負担する(北海道は10分の8.5、沖縄県は沖縄振興特別措置法〔2000年3月31日公布〕第105条により10分の9.5を国が負担)。完成後は無料で供用する。
注3

正式名称を「国土開発幹線自動車道建設会議」という。

国幹法第11条により設置され、基本計画と整備計画の審議を行う。

会議の委員は衆議院議員6名、参議院議員4名、国土交通大臣が任命する学識経験者10名以内で構成される。学識経験者委員の任期は3年(再任可)。

2009年9月29日、前原誠司国土交通大臣は国幹会議の廃止を表明した。

国土幹線自動車道の予定路線

表の注意事項
表の内容は、公布された法律・政令によります。ただし、町村名に冠している「北海道」は省略しました。

北海道自動車道

公布年月日法律番号起点終点主たる経過地
1957年4月16日第68号函館市稚内市及び釧路市札幌市付近

北海道縦貫自動車道

公布年月日法律番号起点終点主たる経過地
1966年7月1日第107号函館市稚内市室蘭市付近 札幌市付近 岩見沢市付近 旭川市付近
1987年9月1日第83号函館市稚内市室蘭市付近 札幌市 岩見沢市 旭川市付近

北海道横断自動車道

公布年月日法律番号路線名起点終点主たる経過地
1966年7月1日第107号釧路線小樽市釧路市札幌市付近 夕張市付近 帯広市付近 足寄郡足寄町付近
同上第107号北見線小樽市北見市札幌市付近 夕張市付近 帯広市付近 足寄郡足寄町付近
1987年9月1日第83号根室線寿都郡黒松内町根室市虻田郡倶知安町付近 小樽市 札幌市 夕張市付近 帯広市付近 足寄郡足寄町付近 釧路市
同上第83号網走線寿都郡黒松内町網走市虻田郡倶知安町付近 小樽市 札幌市 夕張市付近 帯広市付近 足寄郡足寄町付近 北見市

高速自動車国道の指定路線

北海道縦貫自動車道

改正年月日政令路線名起点終点主たる経過地
1967年11月22日第348号千歳札幌線千歳市札幌市
1969年1月20日第6号苫小牧岩見沢線苫小牧市岩見沢市千歳市 札幌市 江別市
1970年6月18日第189号室蘭岩見沢線室蘭市岩見沢市幌別郡登別町 苫小牧市 千歳市 札幌市 江別市
1971年6月8日第179号室蘭旭川線室蘭市旭川市登別市 苫小牧市 千歳市 恵庭市 札幌市 江別市 岩見沢市 三笠市 美唄市 砂川市 滝川市 深川市
1972年6月30日第257号函館旭川線函館市旭川市茅部郡森町 山越郡長万部町 伊達市 室蘭市 登別市 苫小牧市 千歳市 恵庭市 札幌市 江別市 岩見沢市 三笠市 美唄市 砂川市 滝川市 深川市
1978年11月16日第364号函館名寄線函館市名寄市茅部郡森町 山越郡長万部町 伊達市 室蘭市 登別市 苫小牧市 千歳市 恵庭市 札幌市 江別市 岩見沢市 三笠市 美唄市 砂川市 滝川市 深川市 旭川市 士別市
1991年12月20日第376号函館名寄線函館市名寄市茅部郡森町 山越郡長万部町 寿都郡黒松内町 伊達市 室蘭市 登別市 苫小牧市 千歳市 恵庭市 札幌市 江別市 岩見沢市 三笠市 美唄市 砂川市 滝川市 深川市 旭川市 士別市
1997年2月5日第12号函館名寄線函館市名寄市茅部郡森町 山越郡長万部町 寿都郡黒松内町 伊達市 室蘭市 登別市 苫小牧市 千歳市 恵庭市 北広島市 札幌市 江別市 岩見沢市 三笠市 美唄市 砂川市 滝川市 深川市 旭川市 士別市
表注
1991年から、重要な経過地に黒松内町が追加された。黒松内JCTで北海道横断自動車道に接続するためと思われる。

北海道横断自動車道

改正年月日政令路線名起点終点主たる経過地
1972年6月30日第257号小樽札幌線小樽市札幌市
同上第257号千歳夕張線千歳市夕張市
1978年11月16日第364号小樽札幌線小樽市札幌市
同上第364号千歳夕張線千歳市夕張市
同上第364号清水釧路線上川郡清水町釧路市河東郡音更町 中川郡本別町 白糠郡白糠町
同上第364号清水北見線上川郡清水町北見市河東郡音更町 中川郡本別町 足寄郡足寄町
1979年2月27日第27号小樽札幌線小樽市札幌市
同上第27号千歳釧路線千歳市釧路市夕張市 勇払郡占冠村 上川郡清水町 河東郡音更町 中川郡本別町 白糠郡白糠町
同上第27号千歳北見線千歳市北見市夕張市 勇払郡占冠村 上川郡清水町 河東郡音更町 中川郡本別町 足寄郡足寄町
1982年1月29日第14号釧路線小樽市釧路市札幌市 恵庭市 千歳市 夕張市 勇払郡占冠村 上川郡清水町 河東郡音更町 中川郡本別町 白糠郡白糠町
同上第14号北見線小樽市北見市札幌市 恵庭市 千歳市 夕張市 勇払郡占冠村 上川郡清水町 河東郡音更町 中川郡本別町 足寄郡足寄町
1989年2月17日第35号小樽釧路線小樽市釧路市札幌市 恵庭市 千歳市 夕張市 勇払郡占冠村 上川郡清水町 河東郡音更町 中川郡本別町 白糠郡白糠町
同上第35号小樽北見線小樽市北見市札幌市 恵庭市 千歳市 夕張市 勇払郡占冠村 上川郡清水町 河東郡音更町 中川郡本別町 足寄郡足寄町
1991年12月20日第376号黒松内大成白井川線寿都郡黒松内町字大成寿都郡黒松内町字白井川
同上第376号倶知安釧路線虻田郡倶知安町釧路郡釧路町余市郡余市町 小樽市 札幌市 恵庭市 千歳市 夕張市 勇払郡占冠村 上川郡清水町 河東郡音更町 中川郡本別町 白糠郡白糠町 釧路市
同上第376号倶知安端野線虻田郡倶知安町常呂郡端野町余市郡余市町 小樽市 札幌市 恵庭市 千歳市 夕張市 勇払郡占冠村 上川郡清水町 河東郡音更町 中川郡本別町 足寄郡足寄町 北見市
1997年2月5日第12号黒松内釧路線寿都郡黒松内町釧路郡釧路町虻田郡倶知安町 余市郡余市町 小樽市 札幌市 北広島市 恵庭市 千歳市 夕張市 勇払郡占冠村 上川郡清水町 河東郡音更町 中川郡本別町 白糠郡白糠町 釧路市
同上第12号黒松内端野線寿都郡黒松内町常呂郡端野町虻田郡倶知安町 余市郡余市町 小樽市 札幌市 北広島市 恵庭市 千歳市 夕張市 勇払郡占冠村 上川郡清水町 河東郡音更町 中川郡本別町 足寄郡足寄町 北見市
2008年1月18日第6号黒松内釧路線寿都郡黒松内町釧路郡釧路町虻田郡倶知安町 余市郡余市町 小樽市 札幌市 北広島市 恵庭市 千歳市 夕張市 勇払郡占冠村 上川郡清水町 河東郡音更町 中川郡本別町 白糠郡白糠町 釧路市
同上第6号黒松内北見線寿都郡黒松内町北見市虻田郡倶知安町 余市郡余市町 小樽市 札幌市 北広島市 恵庭市 千歳市 夕張市 勇払郡占冠村 上川郡清水町 河東郡音更町 中川郡本別町 足寄郡足寄町
補足

1991年指定の「黒松内大成白井川線」は、一般国道5号黒松内新道を指す。2000年度着工、2009年11月7日15時より供用を開始した。

小樽ICから札幌西ICまでは当初、日本道路公団が「一般国道5号札幌小樽道路」の名称で建設した。通称は札樽バイパスである。関連する建設省告示を表に示す。

告示年月日告示番号告示の内容
1969年12月15日第3859号日本道路公団による有料道路「札幌小樽道路」の建設を認可。
1971年11月29日第1913号札幌小樽道路を一般国道5号へ編入。
同上第1914号同年12月4日より、札幌小樽道路の供用を暫定2車線で開始。
1971年12月3日第1924号同年12月4日より、札幌小樽道路を自動車専用道路に指定。
1973年3月31日第688号高速自動車国道として、小樽IC-札幌西ICの区域を決定。
同上第692号同年4月1日より、高速自動車国道としての供用を開始。
1973年4月2日第806号札幌小樽道路の一般国道指定を解除。
1974年8月21日第1114号小樽IC-札幌西ICを4車線化。供用開始は翌8月22日14時。