支笏湖畔有料道路の料金と徴収期間

はじめに

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5万分の1地形図「樽前山」(昭和53年第2回編集。約1.2倍に拡大)。
図1・有料道路時代。支笏湖の水深は、湖岸近くで一気に 300m まで達している。5万分1地形図「樽前山(たるまえさん)」(1978年第2回編集)を約1.2倍に拡大。

かつての支笏湖は南岸にしか道路がなく、西岸の丸駒温泉と札幌を結ぶ観光ルートとして計画されました。

1964年に着工し、1967年に開通した支笏湖畔有料道路(当時は札幌支笏湖線の一部。現・一般国道453号)は、千歳市の幌美内と支笏湖畔を結ぶ 7km の道路です。湖岸にコンクリート壁を築き、内部を埋め立てる手法で建設されました。支笏洞爺国立公園内を通ることから、自然に配慮したためです。

総工費は6億990万円で、1984年度より無料化されました。通行車両は582万9,000台余り、収入は12億8,593万7,000円でした。

通行料金の移り変わり

1967年9月18日に通行料金を公示したとき、徴収期間は「昭和42年9月20日から18年間」とされました(1970年代初め、25年間へ延長する動きもあった。注1▼)。借入金の償還(通行料徴収)は1983年に終わったため、当初予定より実質2年短縮されたといえます。

回数券も発売され、11回につき1回割引されました。

通行料は1度だけ改定されました。バス料金の細分化は国から指導を受けたことによります(注2▼)。

有料道路の料金と徴収期間を決定したり変更したりする際は、道路整備特別措置法第25条第2項の規定により、公示するよう決められています。支笏湖畔有料道路は、北海道公報に告示されました。

該当する条文を、以下に引用します。

(料金の額及び徴収期間の公告及び公示)

第二十五条

 有料道路管理者は、料金を徴収しようとするときは、あらかじめ、その額及び徴収期間を有料道路管理者である都道府県又は市町村の長の定める方法で公示しなければならない。当該料金の額又は徴収期間を変更しようとするときも、同様とする。

注1
1972年12月19日、北海道議会企業会計決算特別委員会の席上、北海道企業局長の答弁。
注2
1976年3月22日、北海道議会予算特別委員会の席上、北海道公営企業管理者の答弁。
料金表について
  • 車種の「自動車」は省略しました。料金は通行1回あたりで、単位は円です。
1967年9月18日公示
車種普通小型乗合
乗用貨物乗用貨物路線その他
料金200300150150400500
車種軽・小型二輪・小型特殊大型特殊原動機付自転車軽車両自転車
料金504003020
1976年4月5日公示(同年4月21日より適用)
車種普通小型
乗用貨物乗用貨物
料金400400250250
車種乗合軽・小型二輪・小型特殊
マイクロバス路線その他
料金4004001,000150
車種大型特殊原動機付自転車軽車両自転車
料金1,0005050

徴収期間の移り変わり

徴収期間はおおむね4月から11月ないし12月まで。採算の取れない夜間は、無料で開放されました。

料金所は、支笏湖畔側に設けられました。北海道企業局が管理し、深夜勤務がない2交代体制を敷いていました。

冬期の徴収は行っていません。支笏湖から丸駒温泉までの除雪は、1972年度から始まりました。札幌市南区常盤より南の札幌支笏湖線は、春の雪崩とスリップの危険のため冬期通行止めでした。その後は支笏湖氷涛まつり開催中まで通行期間が延長され、さらに昼間のみ通年通行できるようになり、冬でも24時間通行が実現したのは、国道に昇格後の1998年度からです。

徴収期間とその時間は、北海道営有料道路管理規程(1967年9月20日施行、1984年4月1日廃止)第11条の規定により、毎年3月下旬~4月中旬に告示されました。

支笏湖畔有料道路の徴収期間とその時間

表注
  • 告示は料金徴収時間を午前・午後で表記している。本表は、24時間制に統一した。
  • 告示は元号で年度を表記している。本表は西暦とし、上2桁を省略した。
1967年度~1975年度
期間時間備考
679月20日12時30分20時開通日
9月21日10月31日7時20時
685月1日5月31日8時20時
6月1日8月31日7時21時
9月1日11月10日8時20時
694月25日5月31日8時20時
6月1日8月31日7時21時
9月1日11月30日8時20時
701970年に何が起きたのか▼を参照
714月25日5月31日8時20時
6月1日8月31日7時21時
9月1日11月30日8時20時
724月25日4月30日8時20時
5月1日10月31日7時21時
11月1日11月30日8時20時
734月25日4月30日8時20時
5月1日10月31日7時21時
11月1日11月30日8時20時
744月25日4月30日9時17時
5月1日10月31日7時21時
11月1日12月28日9時17時注3▼
754月21日4月30日9時17時
5月1日10月31日7時21時
11月1日12月28日9時17時
1976年度~1983年度
期間時間備考
764月21日4月30日9時17時
5月1日10月31日7時21時
11月1日12月28日9時17時
774月21日4月30日9時17時
5月1日10月31日7時21時
11月1日12月28日9時17時
784月21日4月30日9時17時
5月1日10月31日7時21時
11月1日12月28日9時17時
794月21日4月30日9時17時
5月1日10月31日7時21時
11月1日12月28日9時17時
804月21日4月30日9時17時
5月1日10月31日7時21時
11月1日12月26日9時17時
12月27日9時13時
814月18日12時17時
4月19日4月30日9時17時
5月1日10月31日7時21時
11月1日11月30日9時17時注4▼
824月17日12時17時
4月18日4月30日9時17時
5月1日10月31日7時21時
11月1日11月30日9時17時
834月16日12時17時
4月17日4月30日9時17時
5月1日10月31日7時21時
11月1日11月30日9時17時
注3
当初は、徴収期間を1975年3月31日までとしていた。11月20日付で、翌年の1月~3月は徴収しないよう訂正された(同日の北海道企業局告示第2号)。
注4
当初は徴収期間を12月28日までとし、12月28日の徴収時間を9時から15時までとしていた。11月30日付で、12月は徴収しないよう訂正された(同日の北海道企業局告示第4号)。

1970年に何が起きたのか

支笏湖畔側から 4km の範囲内で13か所もの決壊が発生したのです。コンクリート壁が壊れ、場所によっては1車線分の路面が崩落したり、空洞化したりしました。

4月7日から8日にかけて通過した低気圧の影響で、強風が吹いて支笏湖の波が荒れ、コンクリート壁を支える部分がえぐられたためとみられます。

コンクリート壁は根固めコンクリートという、いわば土台によって支えられ、その下には砂利が敷き詰めてありました。その砂利がえぐられたのです。

当初は4月25日より営業を始める予定で、4月14日に前年と同じ徴収期間・徴収時間を定めた告示をしたものの、10日後の24日に告示は廃止されました。もちろん、25日からの営業はできません。1億1千万円の復旧費用を投じて、6月11日より一部片側通行で開通にこぎつけました(当初は5月中旬の開通を目指していた。また当面の間、19時から7時まで夜間通行止)。

暫定通行で復旧工事は続いており、1970年の料金徴収は見送られました。1971年7月26日の道議会で、企業局側は「営業開始を前にして、四月上旬の異常低気圧による強風波浪のため、湖面側ブロック擁壁及び道路十数カ所にわたり決壊し、これの災害復旧工事施行のため、やむなく営業を休止いたした次第であります。」と答弁しています。

完全復旧は1971年の営業開始時とみてよい。1970年度の営業決算を掲載します(▲は赤字。金額の単位は千円)。

1970年度営業決算
科目収入額支出額差額欠損金
前年度繰越▲122,990
通行料0
雑費123▲22
利息2526,663▲26,638
道路管理費24,455▲24,455
一般管理費5,839▲5,839
総計2656,980▲56,954▲179,944
参考文献
  • 『北海道新聞』(1970年。4月21日朝刊・4月22日朝刊・4月24日朝刊・6月4日夕刊)
  • このほか、北海道議会の会議録を参照しました。
追記(2014年3月31日)
本稿を元に全面的な再調査を行って執筆した「支笏湖畔有料道路史」を『新千歳市史』機関誌『志古津』第19号に寄稿いたしました。千歳市のサイトより全文(PDFファイル)をダウンロードできます。