知られざる登別港線・前編

起点を訪ねる

登別港線は、登別市街に入る一般国道36号よりも海岸寄りを通る、約 3.6km の路線です。

ところで、起点はどこか疑問に思ったことはありませんか。

白老町字虎杖浜か、それとも登別市富浦町か。

結論から申しますと、起点は登別港で、国道交点はいずれも終点です。特徴を表現すれば、「起点を核として、終点が異なる2本の区間を有する路線」になります。

では、国道交点から国道交点までを1本の道道として捉えるとどうなるか。実際、虎杖浜から富浦町への抜け道に利用するケースもある。

ルートの途中で起点を通り、終点から終点へ抜ける、摩訶不思議な体験に遭遇します。

起点と終点・始まりと終わりは道路に限らず、両端に位置するものです。例外といえる循環路線でも、起点と終点は同じ位置に1か所しかない。

区間の途上が起点で、両端とも終点である登別港線は、まことに珍妙な道道です。

この形態は道内唯一であり、全国的にも稀有な例でありましょう。

図1について
  • ズームアウトは、初期画面より1段階まで。
  • 青・赤の線は、地図とラベルで表示されます。

図1・登別港線の路線図。赤色の区間は1995年に昇格した。青色の市道は旧国道。マーカーをクリックすると、該当地点の情報を表示します。 起点を拡大富浦町交点を拡大初期画面へ

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写真1。白老町字虎杖浜終点より起点方向。
写真1。起点を遠望。右前方に登別マリンパークが見える。2008年5月13日撮影。撮影地 白老町字虎杖浜
写真2。白老町字虎杖浜終点。
写真2。認定当初からの終点。2008年5月13日撮影。撮影地 白老町字虎杖浜
道道登別港線のデータ
認定日1971(昭和46)年3月31日
起点A登別市登別港町1丁目1番1地先
終点A白老郡白老町字虎杖浜388番29地先(一般国道36号交点)
起点B登別市登別港町1丁目1番2地先
終点B登別市富浦町2丁目2番1地先(一般国道36号交点)
備考全区間で「追い越しのための右側部分はみ出し通行禁止」に指定。登別市登別港町2丁目の港橋から市道交点まで1kmは、高波の恐れがあるとき通行規制を実施。2000年1月20日、終点Bに信号を設置した。終点Aに信号はない。歩道未設置。

なぜ、現在の形態に至ったのでしょう。

認定当初の道道は図1▲のA地点-B地点、登別港から虎杖浜まででした。

登別市の要望を受けて、登別港から富浦町までの市道蘭法華通りの一部と登別海岸通りを、1995年に道道へ昇格させます。その際、起点の位置を動かさなかったのです。

虎杖浜を起点、富浦町を終点に、あるいはその逆にすればスッキリ分かりやすくなります。どうして、起点の位置を移動させなかったか。

登別港線を認定した1971年3月31日北海道告示第1000号は、起終点を次のように定めています。

起点
登別市登別港
終点
白老郡白老町字虎杖浜(一般国道36号交点)

あくまでも起点は登別港なのです。起点の位置を国道交点にすると、「主要港と国道を結ぶ」路線認定の趣旨に反してしまいます。そうなると、路線を廃止し改めて認定しなければいけない。これには、北海道議会の議決と国土交通省の同意を取る手続きが必要です。

路線認定の趣旨を損なわない形で実現するため、登別港から富浦町へ区域を変更したと考えられます。下表が該当の北海道告示です。

1995年4月11日北海道告示第548号(道路の区域の変更)
区間変更前後の別敷地の幅員延長国道等との重複区間
登別市登別港町1丁目1番1地先から
白老郡白老町字虎杖浜388番4地先(一般国道36号交点)まで
前111.50m から 51.00m まで462.10m一般国道36号重複 L = 29.10m
登別市登別港町1丁目1番1地先から
白老郡白老町字虎杖浜388番4地先(一般国道36号交点)まで
後111.50m から 51.00m まで462.10m一般国道36号重複 L = 29.10m
登別市登別港町1丁目1番2地先から
登別市富浦町2丁目2番1地先(一般国道36号交点)まで
後28.00m から 33.00m まで3,602.75m一般国道36号重複 L = 215.55m
写真3。道道登別港線の起点。虎杖浜方向。
写真3。道道登別港線の起点。虎杖浜方向に加え、反対方向の富浦町方向に延伸したため、起点はルートの途中になってしまった。2008年5月13日撮影。撮影地 登別市登別港町1丁目
写真4。道道登別港線の起点。富浦町方向。
写真4。街路灯に取り付けられたシールの「1」が、起点を示している。2008年5月13日撮影。撮影地 登別市登別港町1丁目

起点の位置は、JR登別駅から登別マリンパークの裏を通り、踏切を渡る市道との交点です。写真3でも分かるように、虎杖浜から下ると左にカーブします。曲がりきった地点と、踏切を渡った市道が虎杖浜側へ幅員を広げ始める地点を結ぶ直線上とされています。

国土地理院「地図・空中写真閲覧サービス」より。
写真A・1976年10月5日撮影。登別海岸通りの建設前。国土地理院「地図・空中写真閲覧サービス」より引用。縮尺は1万分1・解像度 400dpi の写真を回転・トリミング・縮小。

この先、市道蘭法華通り(旧一般国道36号)交点までの区間は、歴史の浅い道路です。写真Aを見ると、1976年度の時点では未整備であることが分かります。『橋梁現況調書』によると、登別川河口に架かる港橋が1977年に完成しているので、1970年代末までには開通したものとみられます。この区間は1986年修正測量の2万5千分1地形図「登別温泉」に記入されています。

港橋から市道交点までの間は、高波の危険がある場合に通行止めとなります。2002年1月には越波で道路が約 60m 決壊し、復旧に2か月余りを要しました。

登別漁港の歴史

5万分の1地形図「登別温泉」(昭和43年編集。約3倍に拡大)。
図2・1960年代後半の時点では漁港の整備が不十分で、登別港線も建設されていない。登別駅南西の工場へ専用線が引かれている。5万分1地形図「登別温泉」(1968年編集)を約3倍に拡大。
2万5千分の1地形図「登別温泉」(昭和61年修正測量。約1.5倍に拡大)。
図3・漁港が整備され、登別海岸通りも開通している。ちなみに、一般国道36号旧虎杖浜トンネルの上を通る道は旧国道である。2万5千分1地形図「登別温泉」(1986年修正測量)を約1.5倍に拡大。

白老町・登別市の境界であるフシコベツ川河口に漁港を建設するため、当時の白老村・幌別村が期成会を結成したのは、1927(昭和2)年6月13日です。苫小牧から室蘭にかけ、沿岸に漁港がなかったことが背景にあります。また虎杖浜地区の漁民にとって、漁船を陸に引き揚げる作業は危険を伴うものでした。

戦争などの要因で運動ははかどらず、着工にこぎつけたのは1950年7月5日のことでした。一部掘り込み式で工期7年、総事業費4億円の予定でした。

ところが、一部が掘り込みとなった沼に玉石が多かったり、波により砂浜に設置したケーソン 注1▼ が破損したりなど、工事は遅々として進まず、漁船の出入りが可能になったのは1969年でした。漁港としての整備が完了したのは1987年で工期37年、総事業費は54億4,000万円に達しました。

第2種漁港に指定されたのは1951年6月29日で、2002年4月1日には第3種漁港 注2▼ へ昇格しました。現在もなお、施設の改修と拡充が行われています。

登別港線は道道認定後に建設されました。下表は供用開始に関係する告示です。

1974年4月9日北海道告示第1047号(道路の区域の決定)
区間敷地の幅員延長国道等との重複区間
登別市登別町から
白老郡白老町字虎杖浜336番3地先(一般国道36号交点)まで
11.50m から 51.00m まで462.09m
1974年4月9日北海道告示第1048号(道路の供用の開始)
区間供用開始の期日
登別市登別町から
白老郡白老町字虎杖浜336番3地先(一般国道36号交点)まで
昭和49年4月9日
告示注
登別市登別町は1974年4月1日より、登別港町1~2丁目・登別本町1~3丁目・登別東町1~5丁目へ分割された。
注1
防波堤・護岸工事に使用する箱状の基礎構造物。水中に設置し、上部を支える。
注2
利用範囲が全国的な漁港。胆振総合振興局管内では登別と室蘭市の追直漁港が、北海道全体で18か所指定されている。