錦岡の国道36号と道道・前編

樽前錦岡線の終点

樽前錦岡線は樽前山の東麓を通る路線で、一般国道276号と同36号を結んでいます。もとは樽前錦岡停車場線として1966年に認定され、主要地方道指定を経て、1994年に現在の路線名となりました。

起点と終点について、告示では次のように定めています。

道道樽前錦岡停車場線
道道樽前錦岡線
本文画像に関する注意事項を表示 本文画像に関する注意事項を隠す
  • 写真+数字(写真1、写真2…)
    • PCの場合、クリックすると拡大表示します。
    • タブレット端末・スマートフォンの場合、写真全体を表示します。デバイスの表示サイズにより、拡大されたり縮小されたりします。
    • いずれのデバイスでも、写真の下部に簡単な説明を表示します。
    • 右上部のバツ印、または画面の適当な場所をクリックすると、元に戻ります。
    • クリックしても拡大されない写真は、その点を注記します。
  • 写真+アルファベット(写真A、写真B…)
    • クリックしても、画像は拡大されません。
    • 倍率は、PCで表示した場合を基準としています。PC以外のデバイスでは縮小され、記述の倍率と異なります。
  • 地形図
    • 倍率は、PCで表示した場合を基準としています。
    • タブレット端末やスマートフォンでは、横幅が 400px を下回る場合に記述の倍率と異なります。
    • 横または縦の長さが 400px を超える地形図の場合、サイズを記述します。最大長のサイズを下回るデバイスでは縮小され、記述の倍率と異なります。
国土地理院「地図・空中写真閲覧サービス」より。
写真A・1975年10月1日撮影。整備前の道道は苫小牧高専からやや離れて通過していた。国土地理院「地図・空中写真閲覧サービス」より引用。解像度 400dpi の写真をトリミングし、97.5%に縮小。元画像の縮尺は8千分1。
国土地理院「地図・空中写真閲覧サービス」より。
写真B・2018年8月20日撮影。整備後の旧道道は十字路で分岐するよう改められた。錦多峰川が直線状に改修されている。国土地理院「地図・空中写真閲覧サービス」より引用。解像度 400dpi の写真をトリミング。縮尺は1万分1。
写真1。苫小牧高専付近、2010年。
写真1。苫小牧高専の西に残る旧道。状態が良好なのは、地下に水路を通している関係かもしれない。2010年11月13日撮影。撮影地 苫小牧市字錦岡

前者の起点とされる「字樽前」は樽前山の南麓に広がり、錦岡地区の西・白老町に接する区域です。実際の起点は字丸山で、千歳市モラップに近い。つまり、字樽前は経由しません。主要道道昇格後も「樽前」を引き継いだのは謎で、「支笏公園錦岡線」のほうが実態に即しています。「樽前(山)」は知名度が高く、分かりやすいのは確かで、その点を考慮したのかもしれません。

道央自動車道苫小牧西インターチェンジ設置に伴い、樽前錦岡停車場線は接続路線となります。国道と接していなかった終点側のルートを変更し、高速道へのアクセス道路として整備されました。旧ルートは苫小牧高専の校門前で分岐するよう改められています。

苫小牧高専から南東へ国道交点まで進む区間は、錦岡二股通線という市道でした。1979年に道道へ昇格します。踏切に代わって建設した錦岡跨線橋は、苫小牧西インターチェンジの供用と同じ1980年10月29日に開通しました。市道錦岡二股通線は1982年に廃止され、1983年に道道は現ルートへ一本化されます。

この結果、停車場に行かない停車場線となり、そのまま主要道道へ昇格したのです。ルート変更以降、国道交点から錦岡駅前に至るルートは告示されませんでした。当時の道路現況調書を見ても、それらしい重用延長が存在しません。

図1・錦岡地区の地図。茶色の線は道道旧ルートを、赤色の線は国道旧ルートを表す。マーカーをクリックすると、該当地点の情報を表示します。 旧国道を表示旧国道の表示を消す初期画面へ

写真2。錦多峰川通の標識。
写真2。樽前錦岡停車場線は、苫小牧市道錦多峰川通線へ移管された。「峯」「峰」の双方を用いた標識。2010年11月13日撮影。撮影地 苫小牧市宮前町2丁目

苫小牧高専から図1のC地点までは、市道錦多峰川通線に認定されました。錦岡地区の土地区画整理事業の完了に伴い、1994年に市道の再編が行われ、のぞみ錦岡線・のぞみ中央線・錦多峰川通に分割されています。

C地点には、道道時代から使用されている案内標識が残ります。

旧道道の標識を再現してみた。
逆光だったので撮影は見送りました。そのまま再現してはおりません。「苫小牧 9km」の標示に、市街地が一体化していなかった時代を感じさせます。

1979年ころに錦岡駅から現地を通った時は、左折方向に支笏湖と書かれていて、なぜここに標識があるのか不思議に思いました。ただ古い記憶なので、勘違いしているかもしれません。錦岡から支笏湖方面へ向かう玄関口でした。惜しいことに、この標識は撤去されています。

C地点からB地点までは、早い段階で市道に認定されていました。この点は後述します。

写真3。錦岡駅から進むと、旧道道は左折。
写真3。終点の錦岡駅前から進むと、最初に現れる交差点。左折が旧道道。直進が旧1級国道だったことは余り知られていない。2010年11月13日撮影。撮影地 苫小牧市宮前町2丁目
写真4。市道と旧道道の交点に残る標識。
写真4。旧道道に残る標識。標柱が非常に古くて錆びており、かつては白看だったのかもしれない。2010年11月13日撮影。撮影地 苫小牧市宮前町2丁目

関連する告示(道道樽前錦岡停車場線)

1979年9月11日北海道告示第3034号(道路の区域の変更)
区間変更前後の別敷地の幅員延長国道等との重複区間
苫小牧市字錦岡454番2地先から
苫小牧市字錦岡443番367地先まで
9.50m から 16.00m まで792.00m
同上20.00m から 43.50m まで789.08m
苫小牧市字錦岡443番367地先から
苫小牧市字錦岡289番地先まで
前110.50m から 17.50m まで2,811.50m
同上後110.50m から 17.50m まで2,811.50m
苫小牧市字錦岡443番367地先から
苫小牧市字錦岡29番36地先(一般国道36号交点)まで
後215.00m から 65.00m まで2,679.85m一般国道36号重複 L = 13.50m
告示注
  • 「錦岡443番367」は苫小牧西インターチェンジから南へ進んだ場合、苫小牧高専手前の左カーブに入る地点。
  • 後2の区域が現ルート。
1980年10月28日北海道告示第2661号(道路の供用の開始)
区間供用開始の期日
苫小牧市字錦岡454番2地先から
苫小牧市字錦岡29番36地先(一般国道36号交点)まで
昭和55年10月29日
告示注
  • 1980年11月29日は、道央自動車道・苫小牧西-苫小牧東の開通日。
1983年9月19日北海道告示第1771号(道路の区域の変更及び供用の開始)
区間変更前後の別敷地の幅員延長国道等との重複区間
苫小牧市字錦岡444番6地先から
苫小牧市字錦岡289番地先まで
前110.50m から 22.00m まで2,747.00m
苫小牧市字錦岡444番6地先から
苫小牧市字錦岡29番36地先(一般国道36号交点)まで
前217.00m から 65.00m まで2,619.42m一般国道36号重複 L = 13.50m
同上後217.00m から 65.00m まで2,619.42m一般国道36号重複 L = 13.50m
告示注
  • 旧ルートを市道へ移管した。
  • 現ルートが開通した際、新旧ルートは苫小牧高専前で分岐するよう線形を変更している。

錦多峰川の改修

写真5。新錦橋からの景色。
写真5。新錦橋より錦多峰川上流を写す。改修前は、前方で斜めに道道が横切っていた。形跡はない。2010年11月13日撮影。撮影地 苫小牧市のぞみ町3丁目

錦多峰川(にしたっぷがわ)は2級河川に指定されており、王子製紙や樽前カントリークラブが取水するほか、苫小牧市の水道水としても利用されます。

1970年代、錦多峰川の改修に伴って樽前錦岡停車場線の旧ルートが変更されました。

国土地理院「地図・空中写真閲覧サービス」より。
写真C・1975年10月1日撮影。旧ルートは直線状だ。中央下に、工事中の錦多峰川新水路が見える。国土地理院「地図・空中写真閲覧サービス」より引用。解像度 400dpi の写真をトリミング。元画像の縮尺は8千分1。
国土地理院「地図・空中写真閲覧サービス」より。
写真D・2009年9月20日撮影。錦多峰川改修後。旧河川敷の一部は宅地に変わっている。公営住宅の建て替えが進んでいた。国土地理院「地図・空中写真閲覧サービス」より引用。解像度 400dpi の写真をトリミング。縮尺は1万分1。
国土地理院「地図・空中写真閲覧サービス」より。
写真E・2018年7月11日撮影。建て替えや公園・更地化で、古い公営住宅が消えた。国土地理院「地図・空中写真閲覧サービス」より引用。解像度 400dpi の写真をトリミング。縮尺は1万分1。
写真6。
写真6。旧道道の工専橋より、支流の錦岡川を西望。改修前の錦多峰川は道道の西を蛇行していた。2010年11月13日撮影。撮影地 苫小牧市宮前町2丁目
2万5千分の1地形図「錦岡」(昭和45年修正測量)と2万5千分の1地形図「苫小牧」(昭和46年修正測量)を約1.2倍に拡大。
図2。苫小牧高専付近の旧道が描かれている。錦多峰川は改修前で、錦岡市街地の流路が大きく違う。有珠川(双葉三条通以南は苫小牧川)より西の糸井・錦岡地区は、ほとんど未整備であった。2万5千分1地形図「錦岡」(1970年修正測量)と2万5千分1地形図「苫小牧」(1971年修正測量)を約1.2倍に拡大。

錦岡地区では1950年に国道の木橋が流出し、室蘭本線の橋梁が損壊する水害が発生しました。1960年代に入り、団地造成など市街化が進み始め、将来を見据えた水害対策に迫られます。1965年3月31日に錦多峰川を2級河川に昇格させ、1968年度より蛇行する流路を改修する事業が本格化しました。455年に1度の割合で起こりうる水害に対応し、1秒当たり350立方メートルの水量を想定しています。

用地買収を経て、1970年度より水路掘削が始まりました。旧道道の新錦橋が架設された1976年度より通水されます。引き続きブロック工事と、新錦橋より上流の工事が実施されました。2005年には、樽前山噴火で発生する泥流等の被害を防ぐ事業の一環として、錦多峰川2号遊砂地が完成しています。

市道の錦多峰橋に近い、錦岡川との合流点は1986年度に完成し、旧河川敷の一部は廃止され埋め立てられました。

錦多峰川2号遊砂地を図1の航空写真で見る

図3~図6は、錦多峰川と遊砂地の整備過程です。年を追うごとに河川改修の進捗度が高まり、樽前錦岡線のルートが切り替えられたのち、遊砂地が建設されました。なお図3~図6はいずれも、0.85倍に縮小しました。

2万5千分の1地形図「錦岡」(昭和61年修正測量)を約0.85倍に縮小。
図3・2万5千分1地形図「錦岡」(1986年修正測量)。
2万5千分の1地形図「錦岡」(平成3年修正測量)を約0.85倍に縮小。
図4・2万5千分1地形図「錦岡」(1991年修正測量)。
2万5千分の1地形図「錦岡」(平成12年修正測量)を約0.85倍に縮小。
図5・2万5千分1地形図「錦岡」(2000年修正測量)。
2万5千分の1地形図「錦岡」(平成18年更新)を約0.85倍に縮小。
図6・2万5千分1地形図「錦岡」(2006年更新)。
国土地理院「地図・空中写真閲覧サービス」より。
写真F・1975年9月28日撮影。改修中の錦多峰川。国道の錦岡橋は、4車線化時に架け換えられた。室蘭本線の錦多峯川橋梁は架け換え中で、仮橋を使用している。市道の錦多峰橋は1973年度に架け換えられた。国土地理院「地図・空中写真閲覧サービス」より引用。解像度 400dpi の写真をトリミング。縮尺は8千分1。

関連する告示(道道樽前錦岡停車場線)

1977年1月31日北海道告示第254号(道路の区域の変更及び供用の開始)
区間変更前後の別敷地の幅員延長 国道等との重複区間
苫小牧市字錦岡335番1地先から
苫小牧市字錦岡351番地先まで
11.00m から 15.00m まで493.00m
同上13.00m から 23.00m まで550.50m
告示注
  • 錦多峰川改修に伴うルート変更。

関連する告示(道道樽前錦岡線)

2003年9月2日北海道告示第1571号(道路の区域の変更及び供用の開始)
区間変更前後の別敷地の幅員延長 国道等との重複区間
苫小牧市字錦岡440番12地先から
苫小牧市字錦岡482番4地先まで
14.00m から 30.50m まで1,084.00m
同上8.80m から 72.00m まで1,196.80m
告示注
  • 錦多峰川2号遊砂地建設に伴うルート変更で、2001年に着工し、建設は室蘭開発建設部が担当した。
  • 2003年6月27日より通行が可能になり、舗装工事実施後の8月に北海道へ引き渡された。告示が9月にずれ込んだのは、そのためである。

国道36号の旧道・錦岡樽前線

明野の旧道のほかにも、一般国道36号の旧道は存在します。鉄道の南側を通る錦岡と樽前地区の間は、図1▲の赤い線で示すように、錦岡市街地・鉄道の北側経由でした。

ルートを切り替えた国道の告示をご覧ください。

1966年6月30日建設省告示第2080号(道路の区域の変更)
区間変更前後別敷地の幅員延長
苫小牧市字錦岡24番の2から 同市字樽前35番の2まで3.00m ~ 29.10m8.302km
同上8.50m ~ 31.04m8.141km
(注)本文年月日は、告示年月日とする。
1966年6月30日建設省告示第2081号(道路の供用の開始)
区間供用開始の期日
苫小牧市字錦岡24番の2から 同市字樽前35番の2まで昭和41年7月1日

写真G。国道の北を通る市道・錦岡樽前線。途中、妙に幅員の広がっている場所がある。かつて、旧国道が踏切へ直進していた名残りである。

では1966年に切り替えられたかというと、違うようです。

写真Hを見ると、開通済みの現ルートが確認できます。

現ルートの測量調査は、1957年度に実施されました。

また区間内に架かる橋梁3か所のうち、橋長 25m の樽前橋は1959年度に架設されたことが判明しています(注1▼注2▼)。

以上の事実から、ルート切り替えは1960年ころに行われた可能性が大きい。今のところ、年月日を特定できる文献は未発見です。

旧国道は市道錦岡樽前線に移管されました。市道認定は1966年です。

同年9月9日の臨時市議会の席上、当時の苫小牧市土木部長は「36号線を改良いたしまして切りかえて国道が廃止された部分でございます」と、錦岡樽前線の説明をしています。現ルートは開通から告示まで数年の空白が生じており、旧ルートは引き続き国道として管理されていたのでしょう。

旧樽前ハイランドや樽前ガローへ通じる市道踏切は、「旧国道36号線踏切」の名称がついています(注3▼)。しかし写真Eを見ると、旧国道の踏切でないのは明らかです。写真Dに面影を留めています。

国土地理院「地図・空中写真閲覧サービス」より。
写真H・1963年4月27日撮影。現国道は開通済みである。踏切が隣接し、旧国道から樽前地区へは室蘭本線を2度渡らないと入れなかった。国土地理院「地図・空中写真閲覧サービス」より引用。解像度 400dpi の写真をトリミング。縮尺は2万分1。
国土地理院「地図・空中写真閲覧サービス」より。
写真I・1976年10月5日撮影。旧国道の跡は、まだ明瞭に残っている。市道に見えるアーチ形の建造物は、TBS樽前ハイランドへの案内看板である。国土地理院「地図・空中写真閲覧サービス」より引用。解像度 400dpi の写真をトリミングし、57.7%に縮小。元画像の縮尺は1万分1。
国土地理院「地図・空中写真閲覧サービス」より。
写真J・2018年6月15日撮影。旧国道跡は鉄道北側のT字型分岐を除きおぼろげに識別できる程度で、地上から視認するのは難しい。4車線化工事が始まっている。国土地理院「地図・空中写真閲覧サービス」より引用。解像度 400dpi の写真をトリミングし、50%に縮小。元画像の縮尺は1万分1。
注1
その後、1987年度に歩道と落橋防止装置を設置し、2006年度に橋脚の耐震補強を実施した。4車線化に伴い、新しく架け替えられる。
注2
区間内の橋梁は他に、錦岡橋と覚生橋(おぼっぷばし)がある。前者は1974年度、後者は1979年度に架け替えられた。河川改修や、4車線化に伴うものである。
注3
踏切の写真を掲載したブログを参照。
参考文献
  • 『苫小牧市史(追補編)』(2001年3月25日発行)
  • 『苫小牧民報』(2003年7月11日付)
  • 『川のあゆみ』(北海道室蘭土木現業所苫小牧出張所。1993年3月発行)
  • このほか、苫小牧市議会の議案書・議事録を参照しました。
苫小牧シリーズ
記事一覧を表示 記事一覧を隠す